資本性ローン? 資本なの? 借入なの???
2020年8月3日
令和2年6月12日に令和2年度の第2次補正予算が成立してから、よく
「資本性ローン」と言う言葉を耳にします。
この資本性ローンが持つメリットは、魅力的です。
が、「すべての企業にとって」ではないのです。。
「資本性ローンって、何ですか?」
よく聞かれます。
資本性ローンは、日本政策金融公庫や商工中金が取り扱う融資制度のひとつです。
令和2年度の第2次補正予算では「中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業」に対して、
1兆2,442億円の予算が計上されており、そこに資本性ローンも含まれています。
つまり公庫や商工中金の資本性ローンをより強化するため、大きな予算が割り当てられていることになります。
資本と言う言葉の響きから、資本性ローンは返さなくていい!!と思っていらっしゃる方が、
結構いらっしゃいます。
でも、そうではないんです。ローンとは、日本語にすると借入金です。
つまり、
いずれ返済しなければいけないものです。
もう少し具体的にお伝えしていきます。
資本性ローンとは、金融機関が、事業者の方々の財務状況等を判断するに当たり、
負債ではなく、資本とみなすことができる借入金を言います。
返済日(金融機関側では、償還日と言います)まで、借入金の元本返済をしなくてよいため、
資金繰りの改善には寄与しますし、資本性ローンは借入ですが、資本金とみなされるので、
金融機関から見たときの財務内容がよくなります。
つまり、金融機関から新規融資が受けられやすくなるメリットがあります。
コロナ渦における、経済産業省による「資本性ローン」の事業イメージ
経済産業省のPR資料で、資本性ローンは、以下のように説明されています。
「新型コロナウイルス感染症の影響により、キャッシュフローが不足するスタートアップ企業や
一時的に財務状況が悪化し企業再建等に取り組む企業に対して、民間金融機関が資本と見なすことができる
期限一括償還の資本性劣後ローンを供給することで、民間金融機関や投資家からの円滑な金融支援を促しつつ
事業の成長・継続を支援します」
<主な貸付条件>
(1)融資対象
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている、
1)スタートアップ企業
2)企業再建に取り組む企業、等
(2)貸付限度額
最大7億2千万円
(3)貸付期間
5年1ヶ月、10年、20年(期限一括償還)
資本性ローンは借りやすい?
経済産業省のイメージする資本性ローンは、スタートアップ企業や企業再建に取り組む、
どちらかと言えば「資金繰りが楽ではない企業」向けの制度ですが、
今までそういった企業が
この資本性ローンを日本政策金融公庫から借りることができた事例は、余り多くないようです。
どちらかというと普通に融資をしてもらえるような、財務内容のよい企業でないと
貸してもらえない傾向が強かったのです。
公庫の担当者の多くがこの資本性ローンを取り扱ったことがないため、あまり活用に積極的では
なかったようです。
資本性ローン、チャレンジの価値はいかほど?
この資本性ローンは、最長15年での一括償還なので、借りることができれば、
15年間返済しなくていいことになり、資金繰りは楽になります。
ですが、そもそも業績や財務内容の良くない企業は借りにくいですし、業績が良い企業には
メリットがあまりありません。
というのも、上記の経済産業省の資料には書かれていませんが、この資本性ローンは、
業績が良くなれば良くなるほど、金利が高くなる仕組みです。
日本政策金融公庫の国民生活事業の「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」には、
以下のような説明がされています。
「利率(年) ご融資後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに3区分の利率が適用されます」
貸付期間が12年超15年以内の場合で見ると
、「売上高減価償却前経常利益率」が0%未満であれば、
金利は1.05%と低利です。
0%以上5%以下になると、金利は3.65%に跳ね上がり、利益率が5%を超えるとなんと6.2%になります。
業績が良く、その好業績が何年も続くと、通常では見かけない様な金利になってしまいます。
これであれば、通常の借入をした方がいい資金調達ができますね。
なので、業容が良い方には余りお薦めではないものです。
今まで公庫の「資本性ローン」は業務内容や財務内容がよい企業にしか貸してくれないという
イメージが強かったので、好況の企業にはおすすめ出来ない商品でした。
が、本当に資金繰りや業績が厳しいスタートアップ企業や企業再建に取り組む企業に対して、
公庫が前向きに取り組んでくれるなら、資金繰り面、また新規融資を得やすくなるといった
各種メリットを享受することが出来ます。
そういった状況の企業なら、この資本性ローンを公庫に申請してみるのも1つの方法ですね。
借りるときは、精緻な事業計画書を作ることが必要条件となるはずです。
最長15年間、1円も貸したお金が返ってこない訳ですから、返済可能性が高く、根拠のある事業計画書を作成しないと、
公庫も積極的に検討してはくれません。
ですが実際としては、資金繰りや現在の業績が厳しい企業は、返済可能性が高く、根拠のある事業計画書を
求められても、説得力のある内容にすることは難しいと思われます。
まして、今回のような新型コロナウイルスという自社のせいではなく、思いっきり外部要因が発端で、
いつ収束するのかも誰にも分からない状況が現実です。
新型コロナウイルスの影響に苦しむ企業に、何とか手を差し伸べて、経済全体を良くしていきたいという
国の意向は伝わってきますが、結局はあまり使われない制度になってしまうのかもしれません。
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