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どこが、うちのメインバンク?

2022年5月14日

2008年のリーマンショックの際に 「メインバンクが助けてくれない」
ということが、よく報道されていました。

確かにこの頃、リスクを恐れる銀行は、メインバンクだから、
何とかして欲しい、と言われることを、嫌がっていたようです。

ですが、ここ数年では メインバンクとして積極的に舵取りを
行うように見受けられます。

金融庁が、そのように指導していることもありますが、リーマンショック以来、
苦境の中で努力を続けてきた企業に対しては、 前向きな支援をしていかないと、
早晩銀行にとって、融資する先がなくなってしまう危機感の表れかもしれません。

現在政府や金融庁が検討中の中小企業金融政策においても、メインバンクに
主導権をもたせるものが多くあります。
これまでなら全ての融資取引銀行の合意が必要だった支援がほとんどでしたが、
メインバンクが音頭をとることで可能となれば よりスピーディに金融支援が
実行されると思料されます。

どこがうちのメイン?

よく問題になるのは、複数行と取引がある場合に、一体どの銀行がメインバンクなのか、
ということです。


一般的にメインバンクは、融資残高が一番多い銀行を指しますが、信用(プロパー・無担保融資)残高が
一番多い銀行が融資残高が一番多い状態でしょうか?


同じであれば、余り問題ないのですが、そうでない場合は万全とは言えません。

会社が発展する中では、たいてい下記のような金融取引の流れとなっています。

1.最初はマル保で、ある程度大きくなると無担保も混じる

2.設備投資等の大きな資金需要が入って、有担保も加わる、
 マル保は使い切る

3.後から参入してきた銀行は、マル保が既にできなくなっており、
 営業の観点があって、プロパー無担保で頑張って融資する

などです。

例えばこういった感じで、銀行取引を拡大してきた場合、気がつけば借入金額も
融資取引銀行数も増えているのに、借入残高の一番多い、定義的には
メインバンクとなるところからは、マル保・有担保ばかりで、実はメインバンクは
リスクをとっていない!ということが、発生します。

このような状況になってしまった会社は、リーマンショック等の際に、自社が
メインと思っていた金融機関から、支援を受け辛くなっていたのです。
有担保や保証協会付きであれば、金融機関は、皆さまの会社が貸し倒れても
担保を処分して返済に充てたり、保証協会が8割分までは皆さまに代わって返済をしてくれるので、
大した損失がでません。
だから、本気で支援をしようと思えない状況になります。

銀行だけが悪いのか?

ここまで見ると、そんなことをする銀行はどこだー!許せん!となりますよね。

ですが、そのような状況にしてしまったのは、皆さま経営者自身なのです。
金融機関取引では、正しいバランスを作っておく必要があります。

普段から、どこででもできるはずの融資しか、メインバンクがしてくれなければ、
おや?と疑うべきです。
メインバンクは、融資残高だけでなく、信用残高も最も多くなければなりません。

皆様がメインと思っているところは、無担保のプロパーローンの提案や、皆様方にとって
(金融機関の収益にとってではないです)有益な情報を届けてくれていますか?

そんな観点からも、自社にとっての銀行選びを見直してみるのも良いかもしれません。